バランス制御:視覚の役割
バランス制御:視覚の役割
知覚機能=状況把握の機能
知覚なくして適切な運動調整は出来ない
知覚は入力系だけではない
知覚機能に基づき状況を適切に把握できても
それに応じた筋出力の微調整が出来なければ運動は正しく調節できない
知覚を生かすために動きを微調整出来る身体となっていることが不可欠
→運動の柔軟性が担保される必要がある
知覚は環境の影響を受けやすい
転倒した場所に対する恐怖
手すりに依存する環境
段差
視野の狭い場所から広い場所(電車昇降、エレベーター、ドアの開閉)
開閉がきっかけで視空間が大きく変化
感覚の重みづけ
脳に対する入力情報(感覚情報)に対して
記憶との照合や感覚系での評価といった解釈を通して意味づけを行っていく作業
視覚
見えの変化(網膜に投影される情報の変化)や眼球運動特性に基づき
環境と身体との距離関係の情報を提供する
体性感覚
地面との接面である足底や下肢を中心とした全身からの情報に基づき
支持基底面における身体の位置や動き
全身の協調関係について情報を提供する
前庭
重力や加速度(頭部の位置変化)を検知して
身体の位置や動きの情報を提供する
暗闇、柔らかい床、傾き
それぞれの感覚情報が立位姿勢に貢献する役割は状況により変化
重みづけの調整が必要となる
視覚とバランス調整
【Reactive】
視覚情報の入力から筋肉の応答が表れるまで数百ミリ秒(長い)
スリップして急激バランスを立て直す場面では大きな仕事は出来ない
資格は立位での微調整に寄与している
動く部屋
床が動かず壁だけが動く部屋でも姿勢動揺が起こる
壁の移動によって生じた視環境の変化
→姿勢が前後のいずれかに傾いた場合の視環境の変化と同じ
→身体が前後に傾いたことを連想させて自動的な姿勢の調整反応を引き出す
転倒危険性が高い高齢者ほど視覚依存が高まり過剰に反応してしまう可能性がある
【Proactive】
歩行時、中枢神経系は全段階で姿勢調整を図り障害物を回避する
→遠方の空間に対する資格情報が不可欠
歩行中の視線行動
進行方向に視線が向けられ
方向転換時体幹が方向を始めるに先立って視線が先に方向転換する先に向けられる
→視線は歩行の先導役を担う
→視線位置は歩行と独立して制御できる自由度が前提条件
【私見】
動作時における視覚情報の大切さを知るいい機会となりました。
脳卒中後遺症患者では、視覚に依存しやすくリハビリ中は上手くいっても
自宅に帰ると戻ってしまう、不安定になるという意見を多く聞きます。
自立支援のための環境調整(手すり等)はとても重要ですが、
本人が今後生活していく中で潜在性を阻害しないよう常に評価していく必要があると感じました。
参考
千葉県理学療法士協会
樋口貴弘先生の資料より